キミ想い
……そういえば、桃原って私の部屋に入ったことなかったっけ。
熱が出て送ってもらった時も家の前までだったもんね。
「お待たせ」
「おっ、サンキュ~」
テーブルの上にお盆を乗せると桃原はさっそく麦茶に手を出した。
「つーか、結構綺麗にしてんだなー」
「全然。さっきちょっと片付けたし」
ふーん、と答えて、桃原はまだ落ち着かない様子で麦茶を口に含んだ。
なんだかその様子が可愛くて、私はつい吹き出してちょっと笑ってしまう。
すると桃原は困ったようにムッとした。
「んだよ」
「だって桃原、緊張してる気がして」
「してちゃ悪いかよ」
「悪くないけど……でも、前の彼女の部屋だって入った事はるんでしょ?」
「それとは別なんだよ」
「何が別なの?」
「んー……気持ちの度合い?」
疑問形だけど、私の方が好きだと言ってくれてるのはバッチリわかる。
トクントクンと鼓動が高鳴って。
「そ、そう……」
今度は私の方が落ち着かなくなってしまった。