キミ想い


桃原は動かない。

私も動かない。


変な緊張した間が流れてから、桃原が小さい声を発した。


「……あのさ」

「うん」

「無理に、どうこうするとか考えてねーから」

「うん……」

「一応、空気読むし」


い、一応なんだ。

でも、その優しさがすごく心に沁みて。


「うん、ありがとう」


素直な気持ちを声にして彼に伝えた。


「もしかしてこの距離も無理とか……あったりする?」

「し、しないよ」


そんなのあるわけがない。

ボロボロに泣いていた私の背中をずっとさすって寄り添ってくれたのは、今ここにいる桃原本人なのだから。


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