キミ想い


蓮の視線が繋がれている手に向いた。

その刹那、僅かに蓮の瞳が鋭く細められて。


「仲良さそうだな」

「言ってなかったっけか? 俺、片桐と付き合ってるんだわ」


ドクン、ドクン。


蓮を前にした、桃原の宣言に


心臓が騒ぎ出す。


まともに蓮の顔が見ていられなくて、私は逃げるように俯いてしまった。

すると、桃原の手が私の手を強く握って……


感じる強さに、自分の弱さを叱られているような気になる。


「いつから」


感情のないような蓮の声。


「一ヶ月くらい前から」


対して桃原も、いつもよりずっと冷めた声色だった。


< 223 / 404 >

この作品をシェア

pagetop