キミ想い
蓮の視線が繋がれている手に向いた。
その刹那、僅かに蓮の瞳が鋭く細められて。
「仲良さそうだな」
「言ってなかったっけか? 俺、片桐と付き合ってるんだわ」
ドクン、ドクン。
蓮を前にした、桃原の宣言に
心臓が騒ぎ出す。
まともに蓮の顔が見ていられなくて、私は逃げるように俯いてしまった。
すると、桃原の手が私の手を強く握って……
感じる強さに、自分の弱さを叱られているような気になる。
「いつから」
感情のないような蓮の声。
「一ヶ月くらい前から」
対して桃原も、いつもよりずっと冷めた声色だった。