キミ想い
「へぇ……一ヶ月前か。そりゃまた急展開だな」
チクリチクリと蓮の言葉が胸に刺さる。
相変わらず俯いたままの私。
けれど蓮の声は嘘みたいにしっかりと耳に届く。
「ま、お幸せに」
勝手にしろ。
そう言われているようで、私は唇を噛んだ。
蓮との恋を手放したのは、私の方なのに。
「じゃあまたな」
「おう。学校で。あー、そだ。空気入れ見つかったってさ」
「了解」
「行こうぜ、片桐」
「う、うん……」
桃原が歩き出して、つられて私も足を踏み出す。
その勢いに乗って蓮へと視線をやれば……
いつからか。
蓮の瞳が私を見ていた。
少しの寂しさを滲ませた瞳で。