キミ想い
「っ……」
慌てて視線を反らしてすれ違った直後。
またしても私の鼻をあの香りがくすぐった。
途端、胸が締め付けられるような感覚が……
私の足を、止めた。
「片桐?」
「れ……佐伯!」
私の声に蓮が足を止める。
彼は横顔だけで私をその視界に捉えていた。
「あ、あの……熱で倒れた時……」
もしかして、倒れた私を運んでくれた?
そう聞きたいのに、喉がつかえてしまったように声が出ない。
……否定されるのが、嫌だから?
だから続きを声に出来ないのかもしれない。
そう思った時だった。
「次はハルがいる時に倒れろよ」
「…っ!」
やっぱりあれは……