キミ想い
STORY26 【噂の真偽】
校内に放課後の訪れを告げるチャイムが鳴り響く。
それを合図に教室は騒がしくなり、その喧騒をぬって桃原が私の前に現れた。
まだ、席についたままの私の前に立って、猫のようなクリッとした瞳に私の姿を映している。
「片桐、今日って暇?」
「特になにもないけど……」
「だったらバスケ部見学しねぇ?」
「えっ……」
「もう佐伯だって知ってるし、そろそろ良くね?」
桃原が示すのは、私が蓮を避けている事なんだと思う。
この前のデートの時に蓮は私と桃原の関係を知った。
だからもう……一歩前に進めと、そう言ってるんだろう。
進まないと、いけないよね。
桃原と一緒にいると決めたのは私なんだから。