キミ想い
「なーんだよその反応。やっぱマジ?」
ハハッと軽く笑った葦屋。
……という事は、本当にそんな噂があるって事?
なんでそんな噂が……
私が桃原と付き合ったから?
ううん、そんな事より今はもっと大切な事がある。
私は大きく息を吸い込むと、さっきから必死に押し留めていた感情を葦屋にぶつけた。
「蓮は悪くない!」
思ったよりも大きく発せられた私の声に、葦屋が驚いたように振り向いた。
「蓮は浮気なんてしてなかった。適当な噂をこんな時に使うなんて卑怯だよ」
「違う違う。メンタル強化の協力してやってるだけだって」
ヘラヘラとバカにしたように笑う葦屋。
その態度が頭にきて、拳を強く握ったと同時、桃原が「葦屋」と怒気を含んだ声で葦屋を呼ぶ。
「言っとくけど片桐も何も悪くねぇから。次言ったら四分の三殺しな」
「や、オレは噂の事言っただけで俺が言いだしたわけじゃ──」
首を横に振り噂の発信源じゃないとアピールしてる葦屋。
だけどその言葉が最後まで発せられる事はなかった。