キミ想い
「葦屋」
右京の厳しい声に葦屋の肩が震える。
「な、なんだよキャプテン」
悪戯して叱られる子供のように様子を伺う葦屋に、右京は厳しい声のまま言った。
「今日は居残りでボール磨き」
「わ…わかったよ……」
不服そうに唇を尖らせて肩を落とした葦屋。
それからまた練習が再開されて、蓮の動きも別に悪いところはなくてホッとする。
私はしばらく見学したあと、桃原に教室で待っていると告げて。
見学席を離れたその間際。
ぶつかった、視線。
私を見つめる蓮の瞳は
少しだけ、優しかった。