キミ想い
STORY27 【一日も早く】
赤い夕焼け空。
道路には私と桃原の影が長く長く伸びていて。
「……なぁ、今日ちょっとお前の部屋で休んでから帰っていい?」
桃原に零すように頼まれる。
もしかしたら、さっきの蓮の話かな?
あんな風に庇ったりしたから何か言われる、とか。
「うん、いいよ」
何にしても、私には予定もないし桃原は私の彼氏だ。
断る理由なんてない。
家に着くと私たちはさっそく部屋へと向かう。
荷物を置いてから、私はキッチンへと向かい、お母さんに頼んで飲み物とお茶菓子をもらった。
それを自室へと運んで桃原に差し出す。
「サンキュ。片桐のお母さんいたんだ」
「うん。これから夕飯の支度だって」
「そっか。ちょい残念」
「えっ──」
そ、それはいかがわしい系の残念の意じゃあ──
「なんちゃってー」
ハハハと笑った桃原。
私はそんな桃原をジトッと睨んだ。