キミ想い
怒りの感情をぶつけるようなキス。
ふいに桃原の唇が離れたかと思うと。
「……っ」
桃原は自分の鞄を手にすると私の部屋から飛び出して。
「あらっ」
「お邪魔しました」
お母さんに挨拶する声が聞こえて、彼は帰ってしまった。
残された私はどうしたらいいのかわからずに、ただベッドに腰を下ろす。
待ってくれると微笑んでくれた桃原が、私にキスをした。
それは……私の蓮への想いが、いつの間にか桃原を苦しめていたから?
ぼぅっと壁を見つめながら考えていると、開け放たれたままだった扉からヒョッコリとお母さんが顔を覗かせた。