キミ想い
STORY03 【ビターな片思い】
──かりんが青木君と交際をスタートさせてから数日後。
「なずな」
昼休み、右京に呼ばれて私は屋上に来ていた。
見上げればどんよりとした曇り空。
視線を下げると、同じように暗い表情の右京が立っている。
「……右京、お昼は食べた?」
他愛もない会話をしてみると、右京は作った頬笑みを浮かべて。
「ああ、食べたよ」
それだけ答えると黙ってフェンスからの景色を眺めた。
「……なずな」
「うん?」
「かりんに……彼氏ができたんだって?」
ああ、やっぱりそれだった。
そんな予感はしてたんだ。
「……うん、できた」
「そうか、本当だったんだ」
声色が寂しそうで、私の胸がチクンと痛くなる。