キミ想い
その晩、晴れだと言っていたはずの天気予報を見事に裏切り降り始めた雨。
「……はぁー…」
翌日になっても止まずに降り続け、寝不足の私の心までどんよりさせていく。
一限目で限界を感じた私は、次の体育の時間を適当に理由をつけて休んだ。
保健室に行くと言ったものの、誰にも会いたくない私は一人屋上へと向かう。
「あ……」
雨の日に屋上に行くなんて私だけだと思っていたのに。
雨宿りできる場所にあるベンチには、先客がいた。
しかも、私の心を揺さぶっている本人が。
ひっきりなしに耳に届く雨音が、あの日初めて唇を重ねた事を思い出させる。
すぐに踵を返して立ち去れば良かったのに、私の足は地面に張り付いたように動かなかった。
蓮が私に気付いて、少しだけ驚いた顔をする。
けど、その表情はすぐにいつもの彼に戻った。
「そんなとこに突っ立っとると風邪ひくぞ」
「……うん」
「早く来い」
手招きされて、躊躇ったものの今さら引き返す事も出来なくて、私は彼の隣りに腰を下ろした。