キミ想い


だけど、始まりのあの日と昨日の出来事、野宮さんからされた事が一気に私の頭の中を駆け巡って。


「あの……私やっぱり──」


戻るね。

そう言って立ち上がろうとしたのに、出来なくなった。


蓮の手が、私の腕を強く掴んだから。


驚いて蓮を見れば、彼の瞳は真っ直ぐに私を見つめていた。

射るような鋭い眼差し。

蓮は逃がさないと言わんばかりの力で私の腕を掴みながら言った。


「原因はアイツか?」


否定すれば良かったのに、言葉につまってしまった。

それだけで蓮には伝わってしまったようで……


「そういう事か」


納得したように呟く。

彼の顔に宿ってたのは静かな怒り。

警笛が頭の中で鳴り響く。


『 これ、ばら撒いてもいいんだよ? 』


ダメ。

ハルに迷惑がかかるっ。


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