キミ想い
「ごめん。黙ってて」
右京の気持ちを知ってたのに、私は何も言わずに過ごしていた。
勝手に話すのはかりんにも悪い気がしてたし、何より、どう言っていいのかわからなくて。
そして、私が伝えて、傷つく瞬間を見たくなかった。
謝った私に、右京は儚げに笑む。
「なずなの事だ。あえて言わなかったんだろう?」
「……うん」
「ちゃんとわかってるよ。ありがとう」
お礼なんて、言わないでよ。
心の中で呟いて、私は右京に笑みを返した。
右京は大きく息を吸って、空を見上げる。
「そうか。かりんに彼氏か」
寂しそうな、愛おしそうな笑顔を浮かべる右京。
その右京の顔が私の方に向いて。