キミ想い


「それで何をすればいいの?」

「これ、頼めるか?」


それは大量のプリント。


「なにこれ」

「日直の仕事。すっかり忘れてて、さっき部活中に担任に呼ばれた」

「日直って二人いるはずでしょ」

「どうやら逃げたらしい」


蓮の言葉に呆れて溜め息をつく私。

仕方なく、蓮と一緒にプリントを重ねてホチキスで留めていく。


なんか、懐かしい空気かも。

前はこんな風に教室で蓮と過ごしてたんだよね。

くだらない話して笑ったり、男と女の深い仕組みをご教授いただいたり。


本当、右京を好きでたまらなかったのが遠い昔の事みたいだ。


パチン、パチン。


静かな教室にはホチキスの音と私と蓮の話し声。

部活の事、大会の話し、最近見た映画の感想。

そんな他愛のない会話を私たちは交わした。

蓮の話すトーンは穏やかで、時折見せてくれる笑みが私の心をキュッと締め付ける。


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