キミ想い


「あと10組くらいかな?」

「そうだな」

「ハルはまだ時間かかるかな?」

「いつものメニューだったらあと30分くらいじゃないか?」

「そっかー」

「俺も着替えに戻るし、一緒に様子見に行くか?」

「うん。そうする」


普通の会話。

昨日の蓮の言葉が夢か幻だったんじゃんないかと思うくらいの普通さだ。



─ 幻だった方が良かった ─



そう思えない私は、なんて浅ましい女なんだろう。


ダメだよ、私。

蓮へのこの気持ちを言葉に変換したらいけない。

今それをしてしまったら、たくさんの大切なものを壊してしまうだろうから。


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