キミ想い
STORY31 【オレンジ色の時間】
「佐伯が気付いてる?」
私の話にハルが顔をしかめて、私はただ頷いて肯定した。
アイスティーを冷やしている氷が、カランと音を立てて位置を変える。
秋明高校の最寄駅前にあるカフェの店内には落ち着いた曲が流れていて、店内にはコーヒーのいい匂いが漂っていた。
私たちがここに入ったのは数分前。
蓮は私が待っているとハルを呼んでくれ、軽く挨拶だけして部室へと向かった。
そこで私はハルに話があると伝え、今に至るわけだけど……
「でも、なずなは何も話してないんだろ?」
「うん……」
「あ……じゃあ俺のヒントでか?」
「ヒント?」
「佐伯さ、違和感感じてたっぽいんだよ。なずなが見学しに来た日……更衣室でさ、"ハルが原因だとは思えない"って言われた」
さすが蓮だなぁ……