キミ想い
「うん……そうだね」
微笑んで答えてみせたものの、うまく笑えていたのかはわからない。
でも大丈夫。
ハルの視線の先にあるのは、さっきのまま、人が行き交う街並みのままだから。
私は、そんなハルからアイスティーへと視線を移すと、ハルの声が再び聞こえてくる。
「けど……一応佐伯とはあんま関わらない方がいいかもな。この前の野宮の態度からしてまた何か言われる可能性はあるしさ」
「……そう、だね」
関わらない。
この言葉の持つ悲しい響きに、私の心がズシリと重くなった。
「気を付ける……」
アイスティーのグラスに映る私の頬を、雫が伝う。
泣いているみたいだ。
そう思ったら、いつもより少し静かなハルの声。
「……そーしろ」
悲しみとも怒りともとれるような声に、私はハルを真っ直ぐ見る事ができなかった──‥