キミ想い


「そりゃ大変だなぁ。頑張れなずなちゃーん」


ニヤニヤして完全に面白がってるな、この男。

背を反ってケースを持つ私の手が若干悲鳴を上げている。

一回置いて持ち直そうかと歩みを止めたら、蓮もピタリと止まって。


「おー、ギブアップ早いなー」


んぬぅっ!

からかってるのはわかってる。

無視すればいいんだけど、なんかそれだとちょっと悔しいから頑張ってまた歩き出してみた私。

ああっ、手が痛い~っ!


「ファイトファイトー」


棒読みっぽい応援についカチンとした私は、とうとうケースを地面に置いて痛む手で蓮の背中をバシンと叩いた。


「痛い痛ーい。暴力はんたーい」

「もうっ、蓮!」


頬を膨らませて睨むと、何故か蓮は優しい眼差しで私を見つめていた。

それはどこか嬉しそうで。


「ど……どうしたの?」

「今、俺の名前呼んだろ」


え──


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