キミ想い
放課後、約束通り私は右京と一緒に駅前のカラオケに向かった。
右京はあまりカラオケには行かない派なんだけど、歌はなかなか上手いという羨ましいタイプ。
特にバラードを歌わせるとハマるのだ。
なもので、私は右京とカラオケに来る事があれば必ずと言っていいほどバラードを歌わせる。
だけど、今日の右京にバラードは禁物。
私はあえてノリのいい曲を右京にリクエストした。
「ええ? 俺、この曲はあまり知らないんだけど」
「じゃあ私も歌うからさ。デュエットしよ」
「仕方ないなぁ。じゃ、フォロー頼むよ」
困ったような笑う右京に、私は笑みと共に任せてとガッツポーズを作って見せる。
右京は、お昼以来、かりんの名前を出さない。
今、右京の心には歌いながらもかりんがいるんだろうか。
少しでも忘れる瞬間を作ってあげれてるのだろうか。
そんな風に考え、気にしながらあっという間に二時間が過ぎて、私たちはカラオケルームを出た。