キミ想い
仄暗い廊下を一人で歩く。
みんな寝てしまっているのか、どこの部屋からも声は聞こえてこない。
まあ、あれだけハードな練習だったし、かりん同様早寝になってむしろ当然なんだろうなぁ。
そんな風に考えながら玄関に向かって歩いていたら、誰かの話し声が聞こえて一瞬ドキリとする。
もしかして右京?
み、見つかるならせめて散歩に出てからにして欲しいっ。
どうにか見つからないように外に出ようとそっと一歩を踏み出した私の耳に入ってきた名前。
それは、私のものだったように聞こえて、自然と歩みを止めた。
耳を済ませてみると、聞こえてくる声はハルの声に似ている。
誰かと話してるんだろうか?
あ、それよりもしかしてこれって仲直りするチャンスなんじゃ?
仲直り出来ればちょっとはスッキリして眠れるだろうし、ハルだって練習に真っ直ぐに取り組める。
そう思ったら、私はもう迷うことなく声のする方へと足を進めた。