キミ想い


声が聞こえてくるのは合宿所内にある休憩室だった。

空いていたドアの隙間からそっと中を覗いてみると、初めに飛び込んできたのはポケットに手を入れて立つハルの後ろ姿。

次に飛び込んできたのは、腕を胸の前で組んでハルと向き合い話をしている蓮の姿だった。

なんとなく入りにくい雰囲気に私が立ち尽くしていると……


「……つまり、俺と関わるとなずなに危害が及ぶから近づくなって事か」


蓮がそんなことを言った。


「そーいうコト。気付いてんだろ?」

「細かい事は調査中だがな」

「探って知って、どうすんだよ」

「そうだな……原因ぶっ壊して、なずなをお前から奪うってのは──」


ドクンッドクンッ。


「渡さねーし、ぶっ壊してもまた繰り返すだけだっての」


私の心臓が早鐘を打つ。

二人の声はいつもの調子に聞こえるようで、刺々しさを孕んでいた。


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