キミ想い
そして昼食の時間。
合宿所の食堂は、パイプ椅子に腰掛ける部員のリラックスした声が行き交っていた。
長机の上には食べ尽くされカラになったお弁当が並んでいる。
そんな中、食欲がわかず、なかなか減らないお弁当と向き合う私。
隣に座り、他の部員と同じくすでにお弁当を完食したハルが「なぁ」と声をかけてきた。
「なに?」
「なずなの好きな肉団子、残ったまんまじゃん」
彼が指差すそれは、確かに私の好物である肉団子。
「好きなものは先のタイプじゃんか、お前」
「あ……うん、そうなんだけど、今日はあんまりお腹すいてなくて」
「とか言って、やっぱり食っておけば良かったって思うかもしんねーから食っとけよ」
「いいよ。あ、ハルが食べる?」
良かったらどうぞとお弁当をハルの前に差し出す。
ハルは一度瞬きをして私を見てから、肉団子を指でつまんだ。
そして、それを自分の口へ運ぶ……のかと思いきや。
「ほれ」
私の唇に、肉団子を押し付けた。