キミ想い
「んぷぅ!?」
「はい、あーん」
いや、あーんって!
普通あーんしたのを確認してから口内に放り込むもんでしょうが!
仕方なく唇を開くと肉団子がつるりと口の中に入ってきた。
「よしよし。よく噛めよ~」
いたずらが成功したようにニシシと笑うハルは楽しそうで。
子供みたいに無邪気な笑顔を見たら、食欲ないのに……なんて愚痴も引っ込んでしまった。
そういえば、ハルのこんな笑い顔は久しぶりな気がする。
彼の表情が曇るのは、ほとんどが蓮絡みで……
ふと蓮の方へと視線を向ければ、いつからこちらを見ていたのか。
視線がぶつかって、私の心臓がドキリと跳ねる。
けれど、それも束の間。
蓮はすぐに視線を外してパイプ椅子から立ち上がって食堂を出て行った。
気のせいじゃなければ、蓮の瞳にあったのは……
悲哀。