キミ想い
ざわつく駅前は、帰路につく大人や私たちと同じく遊び終わった学生が行き交っている。
その波に流れるように、私と右京も帰路を辿っていた。
「最後に右京が歌ってた曲、アレいいね!」
「ああ、洋楽だけど気に入った?」
「うん! あのメロディーラインがなんとも!」
「もし良かったらCD貸そうか」
右京からの提案に、私は喜んでお願いする。
「あ、だったら今日このまま家に寄ってくかい? 何枚かあるから好きなの選んで持っていくといいよ」
「ホント!? ありがとう!」
CDが借りれる上に、右京の家にまで寄れるなんて……
皮肉にも、今日は右京にとっては良くない日でも、私にとっては天国にいるような日だと感じて。
少し複雑な心境で、私は右京と共に彼の家に向かった。