キミ想い
「……なずな」
ハルの冷たさを含んだ声に私の肩がすくむ。
多分、私の視線が蓮を捉えていたことに気づいたのだ。
咎められる。
そう思った刹那──
「ハル君、それ片付けていい?」
ゴミ袋を手にしたかりんがハルに話しかけた。
強張っていたハルの顔が急ぎ取り繕った笑みに変わる。
「おう、ゴチ」
カラになったお弁当箱をかりんに渡すハル。
かりんはゴミ袋の中にお弁当箱を捨てると、私を見た。
「なずなは? もうお腹いっぱい?」
「あ、うん……ごちそうさましようかな」
「中身が残ってるやつは向こうに置いといてね。それと、今から少し部屋で仮眠してきなよ。顔色良くないし、午後もたないよ?」
言いながらかりんは、ハルに見えないようにウインクをひとつ寄こした。
私たちの雰囲気から察して助けてくれたんだろう。
「ありがとう、かりん」
お礼を口にすると、かりんは言葉ではなく微笑みで返し、別のお弁当箱の回収へ向かった。