キミ想い


一番最初に見えたのは、灰色の地面。

どうやら私はうつ伏せに倒れたらしい。


「っ……いっ…た……」


僅かに動かした体に走った痛みに思わず声を発した。

打撲か捻挫か。

とにかく鈍い痛みをところどころに感じる。

私はその痛みを堪えながらゆっくりと肘をついて上体を起こした。

そして、辺りを見回すと……


「……な……に……?」


まるで、嘘みたいな光景が


私の目の前にあった。


倒れた棚と、散らばった道具たち。

そして……

私のすぐそば、棚の下敷きになってうつ伏せに倒れているのは……


「れ、……ん……?」


見慣れたジャージを纏った



──蓮だった。










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