キミ想い
STORY36 【久しぶりの時】
辛い辛いと心が叫ぶ。
蓮を、ハルを傷つけてるのは私なのに。
私はなんて身勝手なのだろう。
力なく歩きながら病室に戻ると、右京が微笑んで私を迎えてくれた。
嬉しそうな明るい表情に最初は首を傾げたい気持ちだったけど、すぐに理解した。
さっきまで閉じられていた蓮の瞼が開いて、柔らかさを纏った瞳が私を映していた。
意識が戻ったのだ。
「蓮っ! 良かった……」
小走りにベッドに寄ると、蓮は唇を開く。
「……なずな……怪我は?」
「私は大したことないよ、蓮のおかげ。ありがとう」
「そうか……」
怪我して横になっているのは自分なのに、私の心配をして口の端を上げ微笑む蓮。
涙が溢れそうになるのを必死に押しとどめていると──
「ハルは?」
右京の声がハルの名前を口にした。