キミ想い
STORY37 【決意】
いつからだろう。
頭上に輝く太陽の熱が、夏の香りを連れてたのは。
気付けばもう夏は始まっていて、あっという間に夏休みが目前に迫っていた。
「そーいえば、なずなは行くの?」
休み時間にクラスメイトのユメちゃんと話していたら、突然そんな風に聞かれて私は首を傾げてしまう。
「行くって?」
「男バスの全国大会だよ。彼氏の応援行くんでしょって」
「あ……うん……多分」
濁してしまったのは、私とハルの関係が微妙な空気のままなのが原因だった。
蓮が怪我をしてしまったあの日から、ハルは私を避けている。
ここ数日、ずっと口をきいてないしメールもしていない状態だ。
同じ教室にいるのに、目を合わせる事さえない。
でも、これは私もなんとなく逃げてしまっているのが原因なんだろう。
「多分かー。やっぱ何かあったんだね」
「えっ」
「喧嘩してるか別れたかって噂になり始めてるよー」
「そ、そうなんだ……」
確かに、あれだけ毎日一緒にいたのに落差が激しいもんね。
そう思われるのは当然なのかもしれない。
「で、実際どうなの?」
まるでレポーターのようにマイクを差し出す真似をしたユメちゃん。
私はそんな彼女に苦笑いを向けて「事務所を通してください」と誤魔化したのだった。