キミ想い
呆れた視線を向ければおどけたように微笑んだ蓮。
彼の腕は真っ白な包帯で固定されている。
かりんが私たちのやり取りを見て口元を緩ませた。
「なんか久し振りかも、こんな光景。佐伯は今日も見学?」
「いや、今日は病院で診察があるんだ。一応雪平に報告してから行く」
「そうなんだ。じゃあ呼んでくるね」
告げて、かりんは右京の元へと向かう。
その姿を目で追いながら、コートの中にハルの姿を探す。
けれど、彼はコートにはいないようだった。
外周でも走ってるんだろうか?
蓮とこうして立っている今、ハルがここにいなかった事に少しほっとしてしまう私。
本当に自分に嫌気がさす。
暗い表情になる前にと、私は蓮に話し掛けた。
「これから病院なんだね」
「ああ。ただ、あの病院は待ち時間が長くて疲れる」
「大きい病院だもんねぇ」
苦笑いして私は答える。
蓮は事故後、検査で異常が見られないからという事で比較的早く退院していた。
かりんから聞いた話では、蓮は現在、部活は見学のみで参加しているらしい。