キミ想い
「母さんは出掛けたみたいだ。夕食が置いてあったよ」
「そうなんだ」
そういえば、おばさんってアクティブな人だって右京が前に言ってたもんね。
「で、さっきのCDはコレで、同じアーティストのがコレとコレと……」
言いながら右京がテーブルにCDを並べて行く。
「多分なずなはこの辺が好みかもしれないな」
「ホント? じゃあソレも借りようかな」
手にしてアルバムのタイトルを読んでみた。
「Bitter love……」
苦い恋というタイトルに、右京が弱々しく笑う。
「恋が甘いだけなら、誰も傷つかずに済むんだろうな」
右京の言葉が差すものは、間違いなくかりんへの恋心で。
「なあ、なずな。早く忘れる方法ってあるかな?」
本当に、本当に痛そうな声で言うから。
私は──