キミ想い
STORY38 【痛いほど、泣きたいほどに】
『今日の夜八時に、すずらん公園の高架下バスケットコート』
夕食を済ませ、自室に戻った私は時計を確認する。
ハルが告げた時刻まで、もう10分もない。
ハッキリと招待されていない私は、さっきからずっと行くか行かないかで迷っていた。
……蓮は勝負するんだろうか。
ハルは無茶な事言ってたけど……
今は早く怪我を治して大会優先でいるべきなのに。
もし……もしも本当に勝負するなら、止めた方がいい?
でも、ハルの決意とか想いを考えたらそれも出来ない気がする。
ああ、ダメた。
考えすぎて頭も心もぐちゃぐちゃ。
なんとかリセットを試みる私。
とにかく、今すべき事だけを考えよう。
私の家からすずらん公園まで徒歩だと30分はかかる距離。
走っても時刻には間に合わないだろう。
本来ならチャリで飛ばせばいいんだけど、あいにくお母さんが愛用していたチャリがちょうど一週間前に壊れてしまったばかり……
「走っても間に合わないかもだけど……」
行こう。
決めると私は、必要なものだけ鞄に詰めて家を飛び出した。