キミ想い


……さすが蓮だな、なんてのんきに頷いてていいのだろうか。

今話題になってる野宮さんの事もある。

ここに来ないなんて保証はないんだ。

けど、どうにも入っていくタイミングがみつからないというか……


「一応アイツの部屋ん中探してみたけど、それらしいモンはなかった」

「よく探せるな」

「まあ上手く追い出したり色々な。携帯にも残ってなかったしなぁ。なー、ハル君ヒントくれ」

「んな事してバレたら俺はともかくなずなが困るって」


なずなが困る。

こんな状態でも私の事を気遣ってくれるハルに、涙が出そうになる。

こんなに優しい人を傷つけて、何やってるんだろう私……


「そうだな。ハルはともかくなずなが泣くのは勘弁だ」

「おっまえは、マジ一回殴らせろ」

「殴らせたらなずなと別れてくれるのか」

「…………」


ハルは黙ったまま。

それを同じように黙って見ていた蓮が起き上がると、私の姿に気付いたようで。


< 316 / 404 >

この作品をシェア

pagetop