キミ想い
私は、顔に笑みを張り付ける。
「それに私、蓮にゲットされるつもりないし」
これが最善なのだと気持ちを持ち上げて、嘘にならないようできる限り自然に笑顔を見せた。
けれど、蓮はジッと私を見つめていて。
心を見透かされないようにと私は言葉を続ける。
「だから野宮さんの事は放っておいて、二人は優勝目指して頑張って」
告げて、私は踵を返した。
これ以上蓮に余裕を見せ続ける自信がなかったから。
「それじゃ、私帰るから。また学校でね」
それだけ言って、後ろ手を振るとコートを離れる。
呼び止める声はなかった。
それが少し寂しいだなんて自分勝手な感情に自分で呆れる。