キミ想い
「あー……悪い。なんか、聞き間違えた気がするからもう一回ヨロシク」
固まっていた私の気持ちを代弁するようにハルが半笑いで人差し指を立てて、もう一度と催促する。
「だから、ハルとなずなはラブラブカップルになってくれって話し」
さっきよりも強烈な言葉に、ついに私も声にした。
「なんでっ」
「おー、いいテンパリっぷりだな、なずな」
クツクツと笑う蓮は、どこか楽しそうにしながら説明してくれる。
「もちろん、フリでかまわない。野宮に油断させとくのが目的だからな」
「油断って……」
呟いた私の声は、思いの外冷静なもの。
野宮さんの名前が出た事で私の気が少し引き締まったからだ。
「なずなが昨日言ってた通りだ。刺激しない為にそうして欲しい」
「俺と別れた事を野宮が知ったら、警戒するかもしんねーって事か」
「アイツは頭は悪いくせに警戒心と悪知恵だけは高いからな」
確かに、悪知恵はレベルが高い……というか。
「悪知恵っつー可愛いもんじゃねーと思うけどな」