キミ想い
「怪我はしてない? ぶつかってごめんね」
「……大丈夫。こっちこそごめんなさい。少し、ボーッとしてたから」
そう答えた夏目さんの顔色が悪い事に気付く。
「具合悪いの?」
「ちょっと生理──」
言いかけて、夏目さんは何かに気付いたように目を丸くした。
視線は私の後ろ、廊下の奥に向いている。
どうしたのかと思ったのも束の間、夏目さんは慌てたように私の手を掴むと、近くにある女子トイレに入った。
そして、眉を困ったようにひそめたまま私を見て「いきなりごめんね。なっちゃんの姿が見えたから……」と声にする。
……そうか。
一緒にいるのを見られたら勘繰られるかもしれないもんね。
私を無視したりせず、こうして一緒に隠れてくれる夏目さんはやっぱりいい子だな、なんて思っていたら。
「……あの……」
夏目さんの戸惑うような視線が私を捉えていて。
「……親友ってなんだと思う?」
突然、尋ねられた。