キミ想い
「野宮さんの関心が蓮にある以上、もしかしたらハルみたいにまた誰かを巻き込んじゃうかもしれないでしょ?」
「そーかもしんねーけど……」
「もういいの。いいんだ」
誰かを傷つけるかもしれないとわかっていて、自分の気持ちを優先させるわけにはいかない。
延びる影を見つめながらそんな事を考えていたら。
「……言い聞かせてるように聞こえる」
静かなハルの声が聞こえた。
「──そうかな?」
「うん」
「気のせいでしょ」
気のせいじゃないのは自分が一番良くわかってるけど、自分さえもごまかしたくて笑って見せる。
すると、ハルは呆れたように微笑んで。
「もっと、わがままになってもいいと思うけどな。アイツはなずなのわがままなら何ともない顔して受け止めるだろうし」
いつの間に食べ終わったのか、ハルはアイスの棒を咥えながら言った。