キミ想い
「夏目さんなら、知ってるかもしれない」
私の声に、蓮が「心当たりがあるのか」と問いかけてきて。
「ううん、そうじゃないけど……悪い子じゃないと思うし、もしかしたら、何か教えてくれないかなって」
そんな都合よく事が運ぶとは思っていないけど、データを誰が持っているかくらいは聞いたっていいだろうし、それくらいなら夏目さんも答えてくれるだろう。
「んー、夏目かー」
ハルは思案するように言うと蓮を見た。
「どうする? こーゆーのは佐伯が適任だろうけど……」
「俺が接触したらバレるだろうな」
そうなのだ。
蓮が夏目さんに探りを入れるということは、ある程度は知っていますよというアピールになってしまう。
だから蓮が動くのは得策ではない。
「じゃあ俺が聞いてきてやろっか」
そう言って、ハルが手を上げたのだけど……