キミ想い


エレベーターで三階まで昇り、二度角を曲がると指定された部屋にたどり着く。

蓮に続いて私も部屋に入ると、備え付けの赤いソファーに蓮が腰を下ろした。

私も彼の向かいのソファーに腰を下ろし、とりあえず二人共飲み物をオーダーする。

蓮はアイスティー、私はカフェオレを頼み、店員さんによってそれらが運ばれて来ると、お互いに一口含み喉を潤した。


話しって……何だろう。

私から聞いていいのかわからなくて、チラリと蓮の様子を伺えば、視線がぶつかった。

ドキリとして、思わず視線を反らしてしまう。

そして、それを合図にするように蓮が声を出した。


「知りたいんだ」


ハッキリとした口調だった。

けれど、私は彼が何を知りたいのかが分からずに首を傾げる。


「なにを、知りたいの?」


すると、蓮は僅かに切なさを浮かべた瞳を私に向けて──


「なずなの気持ちを」


そう、言った。


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