キミ想い


そして、放課後──

ハルを待って校内に残っていた私は、教室にいるのにも飽きてベランダに立ち、校庭の様子を眺めながらバスケ部の見学に行こうか悩んでいた。

行けばそこには蓮がいる。

まだ怪我は完治していないけど、無理しない範囲で練習に参加しているのを本人から聞いていて……

その怪我の原因は私にある。

だから気になるし、様子を見に行きたい。

……なんて、言い訳だ。


私はただ、蓮に会いたいだけ。


普段は直接会って接する事が出来ない影響が、こんな時にこうして顔を出す。


「行こう、かな」


ぼそりと零した声が、野球部の活気ある声にかき消された時──


「片桐さん」


女生徒の声に呼ばれて教室の方を振り返れば、そこには……


「……夏目さん」


一人、彼女が立っていた。


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