キミ想い
「蓮、これ……夏目さんから、もらったの」
差し出すと、蓮の指が私の手のひらに乗ったケースを取る。
「写真の?」
問われて、私は小さく頷いた。
「中は確認したのか?」
「まだ」
赤ちゃんの話のせいもあったけど、データに入ってるものを確認するのは少し怖くて、まだ見れてないかった。
私が首を横に振ると、蓮は机に置いてあるノートパソコンを指差す。
「あれで確認していいか?」
「……うん」
頷くのに間ができてしまったのは……正直、見せたくない気持ちがあるからだ。
あの時の無様な格好をした私を。
その気持ちを汲み取ってくれたのか、パソコンの電源を入れ、たち上げながら蓮が気遣うように声にする。
「……俺に見られたくないなら見ない。なずなだけで確認してくれ」
見られたくは、ない。
だけど……事情も知らずに私から突然別れを告げられた蓮。
傷つけたのは間違いないのだから、きっと彼には見る権利があるのだ。
私は、こくりと確かに頷いてみせる。
すると蓮は、優しく目を細めてから……
カードを、パソコンへと挿入した。