キミ想い


パソコンの画面にフォルダが表示される。

鼓動が早くなり、緊張を示す私の心臓。

蓮がマウスを動かすと、矢印がフォルダを指して。

チラリと蓮の様子を伺えば、真剣な顔をして画面を見つめていた。


カチッカチッと、蓮の指がマウスをダブルクリックする。

中にはたった一枚だけの写真ファイル。

再び聞こえたクリックの音と共に開かれたファイルには……


「……これか」


全ての始まりとなった写真が、あった。

見た瞬間に、私の心臓がキリキリと痛む。

制服を乱された私と、助けに来てくれたハル。

でも、真実を知らない人なら、間違いなくハルと私はそういう事をしているのだと勘違いされるような撮り方だった。


蓮はただ黙って写真を見ていたのだけど……


「なずな」

「なに?」

「一発殴ってもいいか?」

「誰を」

「もちろんハルを」

「えっ!?」


驚き目を丸くする私に、蓮は溜め息を吐いた。


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