キミ想い
「話には聞いててもこれ見たらやっぱムカツいた」
「や、でもこれはハメられただけでハルは悪くないんだよ?」
「わかってるが、殴りたい」
静かに不機嫌さをアピールする蓮。
「まあ、それは半分冗談として」
……半分なんだ。
私が苦笑いを浮かべると、蓮は「この写真は」と言葉を続け……
「消していいな?」
真剣な表情で私を見つめた。
「うん……もちろん」
こんな哀しくて辛いものなんて、残しておきたくない。
私が頷くと、蓮はマウスを操作し──写真を、消した。
データの中が空になる。
写真がこの世界から完全に消滅した事実は、あの日から私の中にあった重く苦しい存在を、軽くしてくれたような気がした。
蓮がパソコンから空になったカードを取り出す。
「とりあえず、ハルは解放されたな」
「うん、そうだね」
会話を交わしながら、私たちはまたテーブルへと戻ってアイスティーに口をつけた。