キミ想い


「……そんな顔するな。ほら。こっち来い」


微笑んで、蓮が自分の隣にクッションを置いてポンポンと叩いた。

拒否、しなければいけないとわかっている。

けれど、彼の隣りにいられるのは、これが最後かもしれないと思ったら……


「……うん」


頷いてしまった。

誘われるままに、蓮の隣りに腰を下ろした──次の瞬間。


私は、蓮に手首を強く掴まれた。


「れ、ん?」

「何を隠してる。また野宮に何か言われたか?」

「な…にも……」

「そうやって隠しても、今度は引いてやらない。もう、お前にだけ背負わせたりしない」

「蓮……」

「頼むから、一人で背負うな」


乞うように口づけられて、私は瞼を閉じた。


私から話すことは出来ない。

赤ちゃんが出来たという話は、野宮さんが最初に告げるべきだから。

だけど……彼から与えられる愛情を拒むことは……


出来なかった。


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