キミ想い
「なずな……」
私の体を伝う指も。
「……蓮……」
久し振りに合わせた肌の熱さも。
彼の全部を、ただ一度だけ。
最後に一度だけ……感じて、残したかったから。
これから一人になる、私の思い出にして……
強く、ある為に。
蓮の中に、私という存在を刻み込む為に。
ねぇ、蓮。
蓮は温かいね。
蓮の腕の中にいると、こんなにも幸せで、こんなにも切ない。
でも……どうしてかな。
こんなにも近くにいるのに。
また、蓮と未来を歩めると思ったのに……
私は再び、蓮から離れなければならない。