キミ想い


「どうしたの?」


首を傾げた私に、ハルが駆け寄ってきて。


「佐伯が、野宮を連れて屋上の方に向かった」

「そう、なんだ」


どうしてハルがそれを伝えてくるのかわからなくて、ただ瞬きしていると、彼は緊迫した口ぶりで言う。


「佐伯のやつ、朝練の時に言ってたんだよ」

「なんて?」

「もう、何をしてでも終わらせるって」

「え……」


終わらせるって……もしかして、野宮さんのこと?

何で急にそんな強引に──

と、そこまで考えて蓮の言葉を思い出す。


『諦めて、失うのはもううんざりだ』


……私が、蓮を焦らせてしまった?


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