キミ想い

「私のせいだ……」

「え?」


私が余計な心配かけるような素振りを見せなければ、終わりを告げなければ、蓮は野宮さんに対して強引な手段に出なかったはずだ。

それとも、何か考えがあっての行動?

ううん、きっと違う。

だって蓮はハルに話した。

何をしてでも終わらせると。

だとしたら、何をするの?

もしかしたら、蓮の交渉か何かで、野宮さんが赤ちゃんの事を話せないままになってしまう事もあるんじゃ……

そうなったら、野宮さんと野宮さんのお腹にいる赤ちゃんは……どうなるの?


「わ、たし……行ってくる」

「おいっ……なずな?」


戸惑うハルの声を背に、私は走って廊下に飛び出した。


登校してくる生徒を避けながら屋上に向かう。

階段を昇って、屋上まであと数段というところで、野宮さんの声が聞こえて私は足を止める。

顔を上げれば、屋上の扉の手前で、蓮と野宮さんが向き合っていた。


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