キミ想い
「れ、蓮っ」
声を、かけてしまった。
「なずな……」
蓮が驚きながらも眉をひそめる。
どうしてここにいるんだと、その表情で語っていた。
野宮さんも、何の用だと言わんばかりの鋭い視線で私を見ている。
「私、その……ハルから、ここに向かったっぽいって聞いて……心配で……」
告げると、蓮は笑みを浮かべるでもなく、私から視線を外す。
「心配しないでもいい。もう俺が話をつけて終わらせ──」
「こ、この子が言ったのよ」
突然、野宮さんが私を指差した。
「え……?」
意味がわからず野宮さんを見ていたら、彼女は私の手を引いて蓮の前に立たせる。
そして……
「この子が、桃原の方がいいからくっつけるように手を貸してくれって」
更に意味のわからない事を、言い出した。