キミ想い


「だからあたしは動いてあげたの。文句があるならこの子に言ってよ。ね、でしょ?」


問いかけて、まだ握っている私の手首を強く掴む野宮さん。

頷けと、強要されているのがわかった。


「あ……あの……」


どうするべきか迷って、私はそれだけ口に出すのがやっと。

蓮は、私をただ真っ直ぐに見つめていた。

疑ってる様子はなくて。


「そうでしょう?」


さらに言わせようとしている野宮さんを見て、小さな溜め息を吐いた。


「やめろ。そんな嘘、信じるわけないだろ」

「本当だもん! ちゃんと言いなさいよ! アンタの口から言って!」


ムキになったというより、半ば取り乱しているようにも見える野宮さん。

蓮の言う通り、今更そんな嘘は彼に通用しないだろう。

それに何より……私はもうこれ以上、蓮にひどい言葉を投げかけたくはなかった。

未来がない。

それだけでもう、許して欲しい。


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