キミ想い


いないって……言った?

言葉に出来なくて、驚いた表情のまま瞬きを繰り返し、ただ蓮を見つめる私。


「アイツのお腹に、赤ん坊はいない。最初から」

「え……え、でも」

「嘘ついてたんだ。最終手段だっんだろーが……俺は、野宮と何もしてないしな」


できるわけがない。

できたとしたら、それは俺以外の男との子供だろう。


そう言った。


「ちなみに、本人からちゃんと確認してある。ま、どのみち医者の前じゃ嘘ついても無駄だしな」

「そ…う、だったんだ」


一気に全身から力が抜ける。

そんな私を見た蓮は苦笑いを浮かべた。


「だから、離れようとしたのか」

「……うん」

「お人好しすぎるだろ」

「だって、赤ちゃんができたなんて言われたら普通は──」

「もしも」


強い意志の宿った蓮の声に、私は言おうとしていた言葉を止める。


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